助産師の育児アドバイス

赤ちゃんのことをもっと良く知ろう!

赤ちゃんの発育について教えて!

赤ちゃんの成長発達の過程は「想像できないほど綿密なプログラム」に従って進んでいきます。

順序としては、首の座り→寝返り→ハイハイ→つかまり立ちへ→ひとり歩きへ、という具合です。
個人差が著しいのですが、例えば「首すわり」では、早い子は、3ヶ月を待たずに、そして、遅い子は、半年ぐらいの期間を要する子もいます。
一般に女の子と男の子を比較すると女の子のほうがやや早い感じがします。
また、身体の大きさも個人差がありますが、体格のいい子と小柄な子を比較すると、小柄な子の方が早いかなと感じることがあります。

仰向け寝、うつ伏せ寝、どっちがいいですか?

「うつぶせ寝」は敬遠されている傾向があるようです。

日本では、「うつぶせ寝」の歴史があまり長くありません。
重ねて、最近では、少し下火になりましたが、乳幼児突然死症候群という、まだ原因のわからない死に至る病気と「うつぶせ寝」との因果関係がはっきりしないので、余計に敬遠されています。
うつぶせ寝で寝かせることによって突然死が起きたのではないかという説があるからです。
でも、ずーっと、仰向け寝に寝かせたままでは頭の形が悪くなるとも言われることがあり、首をしっかり持ち上げる力がつくのでうつぶせ寝がよいという「うつぶせ寝の有効説」もあります。
どちらにしても、まだ自分の首が座る前の子どもを寝かせる場合、子どもの安全を親がしっかりと確認しつつ、仰向け寝もうつぶせ寝もそれぞれにさせてあげるとよいと思います。

父親としては、どんな風に赤ちゃんを遊んであげればいいですか?

育児アドバイス:パパ

もちろんですが、お父さんも赤ちゃんにとって重要なんですよ!

赤ちゃんにとって、お父さんとの遊びで一番重要なことは、しっかりとした手ごたえで抱かれる安定感をえられることでしょう。
お母さんのおっぱいの香りのする柔らかさは異なり、おっぱいの香りはしないけれど愛情のこもったお父さんの両手でしっかりと抱きとめてられているという安定感は、子どもが成長していく段階では大変、重要で有効な心理的要素になるのです。

具体的な遊び方は、特別に何をするという決まりはないでしょう。
その子の「喜ぶ抱き方」をしてあげることが大切です。
例えば「横抱っこ」の好きな子、「たて抱っこ」が一番ゴキゲンな子にはその抱き方をしてあげること。そして、時には「試練」のように、お母さんがしてくれないような、ちょっとワイルドな抱き上げ方で「タカイタカイ」をしてあげたりすることもよいでしょう。
赤ちゃんが十分に満足するまで時間をたっぷりとって関わってあげることもよいでしょう。

また、お父さんの「お母さんとは違うトーンの声」をしっかりかけ、タッチングしながら、相手をしてあげることが赤ちゃんにはすごくよい刺激なり、同時に大切な情緒を育てることにもなるのです。そして、よく遊んであげればあげるほど「赤ちゃんをことが可愛くなり」、「赤ちゃんの個性がよくわかるように」なるのは当然のことですね。

スリング、抱っこひも、おんぶひもなどの特徴と選び方を教えてください

商品によって違いがありますが、おおよそ下の表のような特徴があります。

スリング・抱っこ紐・おんぶ紐比較表
  スリング 抱っこ紐 おんぶ紐
使用時期
(生後)
新生児~ ・2ヶ月くらい~
・新生児~
(※商品によります)
4ヶ月くらい~
長所 ・新生児からつかえる
・赤ちゃんが子宮の中にいたときに近い姿勢で落ち着く(らしい)
・手作り可能
・首がすわっていなくても大丈夫
・両肩で支えるので、疲れにくい
・赤ちゃんの顔が見えるので安心
・お母さんの心臓の音が心地よい(子宮の中を思い出すとか・・・)
・赤ちゃんが重くなっても支えやすい
・赤ちゃんをおんぶしたまま、家事をこなせる
短所 ・赤ちゃんが重くなるとつらい(片方の肩で支えるため) ・特になし? ・首のすわっていない子には使えない
・赤ちゃんの顔が見えない
価格帯 いろいろな商品があり、機能性もベーシックなものから多機能なもの、値段も2000円代のものから2万円を超えるものまでさまざまです。

選び方は、「安全で使いやすく持ち運びに便利なもの」。

まず、なんといっても「安全」なもの。
それは赤ちゃんをしっかり支えられるという構造的な面はもちろんのことですが、汗っかきの赤ちゃんを包むものとして考えると「お洗濯が出来る」というような衛生面での安全性も大切な要素と考えることが必要です。
また、ただでさえ荷物の多いお母さんのバックの中でお母さんが扱うときに手をはさんだりする様な固い止め具などのついたものも安全性という点では考慮に入れていただきたいポイントです。

赤ちゃんにとっては安全で楽なものであること。
抱っこをする側のお母さんにとっては着脱が簡単で、抱き心地のよいもの。そして、子育て中のお母さんのピカッと光るセンスのよさも強調したいですよね。

赤ちゃんは温度に敏感と聞きましたが・・・

生まれたての1週間は、本当に体温調節が「へたくそ」です。

赤ちゃんの体温調整能力は「カメレオン」のようです。
寒ければ低体温に、反対に熱ければ発熱してしまいます。「トツキトウカ」お母さんのお腹の中深く、子宮という最も安全で安定した環境の下にいて、温かい羊水に守られ、何の心配も無く過ごしてきたのですから無理もありません。
やっと1週間をかけて自分自身で身を守るべき方法を身につけかけます。
自分でがんばっておっぱいを飲み、自分でがんばってウンチを出し、おしっこをするタイミングを図り、赤ちゃん独特の「みずみずしい身体の水分調整」の仕方を身につけて「おっぱいを飲みつつ、ウンチを出す」というワザを身に付け、瞬間的なタイミングで栄養分を身体に取り入れ、またすぐに「お腹空いた!」と泣いて、空腹を大人に知らせ・・・という具合で生きていく技を習得していくのです。
そして、一月ぐらいたつ頃には、体重も生まれたときよりも500~1000グラムも増え、皮下脂肪をしっかり蓄え、体温の調節が自分で出来るようになります。
そしてこんな頃からの赤ちゃんの体中のエネルギー燃焼状態は、「抱っこしているだけ」でこちらが汗ばんでしまうほど、「熱のカタマリ状態」といわれるような寒さ知らずのエネルギーを維持できるような赤ちゃんの身体に変わっていくのです。
もちろんこの時期になると、薄着で過ごすことがいいですね。着せすぎないようにして、体温調節をしてあげていただきたい時期になってきたのですから。

赤ちゃんって何歳頃から目が見えるようになるの?

実は、赤ちゃんは生まれてすぐにでも、視力はあるのです。

ただ、私たちが普通に「見える」と言っているのとは意味が違います。
なぜなら、赤ちゃんにとっては、「視力」をもち、「ものを見る」ということはできますが「モノを認識する」という形で見ているのではないからです。
要は、モノを理解しているのとは違うのです。
お父さんを見るのではなく、ヒト形を見ていると考えたほうがいいのかもしれないということです。
赤ちゃんの「網膜にモノが映っている」かどうかは、赤ちゃんに生まれつき備わっているの原始反射の一つである、『追視』(以下にて解説)から簡単に確かめることが出来ます。
でも、この反射は、赤ちゃんがモノを認識できる、いわゆる「目が見える」ということと一緒ではないのです。
赤ちゃんがこちらを見て、微笑んでくれるようになるには、およそ二ヶ月を要するといわれています。

ここで言う「反射」とは、高等生物に見られる、「ある種の刺激に対して、無意識的に起こる反応」のことです。
例えば、熱いやかんに触ってしまったとき、とっさに手を引っ込めますよね。
「熱いから引っ込めなきゃ」とは考えていないはずです。生物学的には「反射」はさらに細かく分類することができます。

「追視」:赤ちゃんの最初の視力はピンホールカメラで外を見ているような感じだといわれています。
生後、1~2日たって、赤ちゃんの目とこちらの目が合いさえすれば確かめることが出来る反射です。
赤ちゃんは、最初から設定された焦点距離《30~40センチ》があります。そして、そこにモノがあると網膜には像が映ります。
すると、焦点が合ったところで、じっと見つめ続けます。それを凝視といいますが、赤ちゃんは、そのままかなりの時間(何分間もは続きませんが)その対象物を眺め続けます。
もし、その網膜に映っているものがゆっくり横に動き始めると、その動きに赤ちゃんの視線がついてくるのがはっきりとわかります。(縦方向の動きにはあまりついていけないようです。)
それを「追視」といい、赤ちゃんの原始反射という生まれつき備わった能力の一つだといわれています。

ここで、一番簡単で楽しい「追視」の確認方法を紹介しましょう。
まず赤ちゃんをゆったりと抱っこします。赤ちゃんの瞳に自分の顔が映っていることをたしかめたら、ゆっくりと自分の顔を横方向に(目線を合わせたまま)移動します。
すると、赤ちゃんの目線が自分の顔を追ってくるのがはっきりと確かめられるのです。「私に一番反応してくれる」といううれしい気持ちになります。
でも、こんなことを言うと楽しさを半減させるかもしれませんが、追視は赤ちゃんにとって、顔でなくて、丸いものなら反応してくれること、上下さかさまでもお構いなしに起こる反射であること、色についても白・黒・赤などのはっきりした色を好むことが実験の結果わかっています。
でも、おっぱいをあげることも出来ないお父さんにとっては、「何も言ってくれない赤ちゃん」と思っていたのに「赤ちゃんとコミュニケーションが取れる」という気分はなかなかよいものですよ。そして、「追視」からはじめる赤ちゃんとのコミュニケーションを愉しむ面白い「新生児用の絵本」がありました。
実際には、新生児期だけでなく、乳児期にももっと楽しい反応が期待できます。結構な優れものです。
下に紹介している商品なのですが、詳細ページには実際に赤ちゃんが絵本を見ている動画もありますので、チェックしてみてくださいね。

赤ちゃんの日焼け対策って?

日差しが強くなると日焼け対策が必要になりますね。
「赤ちゃんの日焼け止め化粧品って必要なの??」とよく質問されるようになりました。
ひと世代前の日焼け止め化粧品は、おしゃれに気を使う若い女性が対象でしたが、近年では日焼けへの意識は男性だけでなく赤ちゃんに対してもかけられるようになっています。

しかし、赤ちゃんに対しての予防策については賛否両論

必要性を訴える人、赤ちゃんの肌は日焼け防止などいらないというヒト。
おしゃれか身だしなみか予防策か、単なる流行か?

でも、本当に必要なことは「紫外線対策」なのです。

赤ちゃんを陽射しの強い日中に外出させなかった昔と比べ、核家族が増えたこのご時世、どこにも行くにも赤ちゃん連れですね。
赤ちゃんのプリンプリンした柔らかな肌、みずみずしいやわ肌は、とてもデリケートです。

デリケートな赤ちゃんの肌を守るには、まず、肌に優しくと思えば、紫外線から守ること、直射日光に当てないこと(実際には輻射、反射が相当あります)

特に、春、初夏から9月ぐらいまでの紫外線が強い時期ですから、特に10:00~14:00の時間帯は要注意です。
赤ちゃんには、長そで、深めの帽子がお勧めです。

これが、大原則!!
赤ちゃんのことをしっかり知って、楽しいお出かけをしてくださいね♪

赤ちゃんは抱っこ好き!

「赤ちゃんは、抱っこが大好き!」
「赤ちゃんは、子宮の中でも抱っこされていたと記憶している!!」
「赤ちゃんは、大好きなおっぱいを抱っこされて飲みたい!!!」
「実は、大人も抱っこ(ハグ)は大好き!」

人は、しっかりと抱かれると安心できる生き物のようですね。

子宮内の記憶からさかのぼって考えてみましょう。
子宮の中は、丸いドーム状の「弾力のある壁(子宮筋=横紋筋)」です。
赤ちゃんは、ずっと、その子宮の壁に寄り添いながら成長してきたわけですから、当然、胎児から新生児になりたての赤ちゃんには「触れられている」ことで、「安心感」を得ることができるのです。

赤ちゃんの子宮内での体勢は「逆立位」。要するに、逆さまの縦抱っこです。
生まれてから次第に、地球の重力に逆らいながら身体をなじませていくと、横抱っこのほうを好む子も増えてきます。
赤ちゃんは、どんな体勢であっても自分に心地よい抱っこを求めているのです。

そして、余談になりますが、赤ちゃんの「抱っこ」は、抱っこをしている側をも癒してくれるのです。
赤ちゃんの「ぬくもり」「柔らかさ」「曇りのない瞳」
やっぱりかわいらしく愛される存在ですね!!

助産院とHPO法人の合同企画で、老人ホームへの「赤ちゃん訪問団」というボランティアをしたことがあります。
認知症を患ったご老人が、赤ちゃんを抱っこした時だけシャキッッッッ!!とされたことには本当に驚かされました。