助産師の育児アドバイス

妊婦さんの豆知識

妊婦さんにとって体の"冷え"は天敵!

最近、特に女性に冷え性の方が多くなっていますよね。でもたかが"冷え"とあなどってはいけません。
体の"冷え"は逆子や早産の原因となることがあります。
人間の身体は、実に複雑な化学反応や生体反応の組み合わせで機能しています。それらは皆、温度に大きく依存するのです。
特に女性の体は、男性に比べて、はるかに多くの複雑な機能を持っています。排卵から月経への性周期、妊娠と出産のときの性ホルモンの絶妙なバランスなど、精密機械も真っ青の機能がいっぱいです。
体の冷えはこれらに対して悪影響を与える場合があります。冷えは血行不良が主な原因なので、ホルモン系などにも影響があるかもしれません(すべてのホルモンは血液によって運ばれます)。
結果的に、逆子や早産などの原因となる可能性があるのです。昔から、「妊婦は身体を冷やしてはいけない」と言われているとおりです。

冷え性を治すことで、おなかの赤ちゃんが安定するだけでなく、血行不良が原因のむくみがとれたり、精神的にも落ち着くなどの作用もあります。
実際に冷え性を治すには、鍼灸に通ったりするのが効果的なようです。また、単に身体を温めるだけでも大きな効果があるといわれています。手足が冷えて冬場は眠れない、という方は、靴下を履いたまま寝ると意外とぐっすり眠れたりします。
ら・くーなでは、五本指靴下をオススメしています。指先が手袋のように分かれているので、普通の靴下よりも足の指を広げて、血行をよくしてくれる効果があります。

「ホルモンと神経」の話へのリンク

妊娠中は貧血を起こしやすい!?

一般的に、妊娠中は普段より貧血気味になるのが普通です。
妊娠中は「水血漿」といって、血液が水でうすめられたような状態になります。これは、血液の「粘度」を下げ、胎盤への血液循環を促進し、胎児に効率よく栄養を提供するためです。この「水血漿」が妊娠中、貧血気味になる大きな原因なのです。
このように妊娠中に貧血気味になるのは異常なことではないのですが、普段から貧血気味の方は注意が必要です。
胎児は母体よりも優先して鉄分を吸収するため、お母さんの貧血が重くなり、動悸がしたり、階段の上り下りがきつくなったりします。 また、極端な鉄分不足の妊婦さんは、出産時に出血が多くなる傾向もあるようです。
普段から貧血気味の女性は、妊娠中は鉄分を多めにとるように心がける方がよいでしょう。
具体的には、「海藻類などの鉄分を多く含む食品を食べる」「栄養補助食品やサプリメントを必要に応じて利用する」などです。鉄なべを使って料理をするのも、少し効果があるようです。

安産のために、早い週数からできることはありますか?

なんといっても「散歩」がオススメです!
散歩オススメの理由、その一は、簡単で誰でも出来ることだから。
妊娠して体重が(徐々にですが)ふえると身体が重くなり、動きにくくなり、結果的には、慢性的な運動不足になりがちです。
ですから、出産という大きな仕事に向けて、鍛えるとまでは行かなくても、体力をつけつつ待つということは、誰が考えても賢明な策だと思います。でも、妊婦というだけで誰もが特別扱いをします。そんな中で、散歩は、誰にも相談しなくても自分ひとりでもできることです。自分の足で歩いて、疲れたら休み、よし、大丈夫と思ったら、また、歩きかける、疲れたら休んで、また歩くという方法で「歩くことに慣れる」という習慣をつけていただきたいのです。

散歩オススメの理由、その二は、一番純粋な出産準備策だからです。
自然経過をたどる「初めての出産」=「初産」(「ういざん」と読みます)は、42,195キロのフルマラソンに似ています。マラソンは、日ごろの訓練が成果を挙げますよね。入念にコースを下調べしておいて、コースの癖を知っておきます。でも、お産の下調べはなかなか出来ませんね。予行演習で模擬出産をしてみることが出来ないからです。でも、かわりに、準備として、自分の癖を知ることはできるはずです。例えば『生理痛』などを思い出してみて、痛みに強い方か、痛みに弱いか。或いは、ちょっとした怪我、傷にも「痛がり屋」か「我慢強い」か。また、体力を消耗する持久戦になったときを想定し、学生時代の冬の マラソン訓練などを思い出してみて、息が切れやすいのか、汗かきか、歩くときにスピードはゆっくりなのか速いのか、距離向きか長距離向きか、持続力はあるのかないのか、などなど。自分の「身体」の傾向を知る事も大切なことです。
お産は誰にも代わってもらえないので頼りになるのは自分自身です。そのことを考えると、持久戦にも似た「出産」に向けて、「自分自身の身体」に興味を持ち、「自分の体力の傾向」を知っておくことはとても大切なことです。

散歩オススメの理由、その三は、自分自身だけペースが確保できるからです。
妊娠という母体に対しての「負荷」が徐々にかかるという現象は、それに順応するためのバランスをとることを必要とします。身体が重くなれば、重みに耐えるためにどっしりと構え、動くにも敏速な行動ではなくゆったりとバランスよく身体の安定を保とうとするはずです。すると、身体のエネルギー消耗はおさえられます。一方、食事など(エネルギーの摂取)については、一時期つわりなどで抑えられていた食欲が回復すると、妊娠による食欲中枢の刺激により、多くの人が「食べる量」を増やそうとするようです(現在の日本の食生活ならば、食事量を増やすことをあえてする必要がない場合が多いのですが)。
人間の胃袋は、食事という生活習慣で「摂取量」をアップさせていくと「胃袋の拡大」という現象を起こし、物理的に胃の容量を増やすことができます。ソレが毎日になると・・・常時食べ過ぎの状態になります。すると、必要以上に体重が増えてしまうのです。

散歩は、はじめは、「30分歩き」から始めればいいでしょう。ダイエット表などを見てみると判るように、「歩く速度」と「距離」が関係して消費カロリーが決まります。つまり、体重が3キロ増えると「30分歩き」では体重が増える前に30分歩けた距離に比べ「歩く距離」が短くなります。ですから体重が増えた分、距離を増さなくてはなりません。すると、歩くのに要する時間が増すわけです。45分歩けばいいでしょう。最終段階には、2~3時間は自分のペースで歩けるように体力の維持増進に心がけてください。

妊娠中はどんな食生活が望ましいですか?

やっぱり和食!
妊娠中というのは、目には見えませんが、実は、「赤ちゃんを母体内で育てている期間」なのです。目に見えないほどの小さな時期から頼りになるのはお母さんになるあなたの摂取した食事。「ソレ」しかないのです。
たった280日間という妊娠期間に赤ちゃんが成長するために、母親が、その妊娠期間の栄養について、どう考えるかにかかっているのです。
ちょっと怖いですよね。でも考えてみてください。あなたの身体は、何の文句も言わず、ただただ忠実に、あなたの食べたものから「血液」を造ります。そして、造られた血液は「胎盤に送られ」、胎盤を通して赤ちゃんを育てていくための「すべてのもと」になるのです。
さて、その内容については、やはり周りを海に囲まれた日本という環境に適応してきた農耕民族、日本人であるということから、祖先、先達に習った食生活が望ましいでしょう。つまり、昔ながらの和食です。
日本の文化を見直したいという根拠は、この戦後の50年あまりの間、「アメリカナイズ」され続けて、ここまで来てしまった、現代日本の食文化にあります。その元祖、アメリカでは、その食文化の根幹を揺るがすような恐ろしい情報が明らかになってきました。それはアメリカの国民の半数以上の人々が、アメリカ式の食生活によって「寿命を極端に縮める危険な状況にある」ということです。
そして、戦後60年たって初めて「日本古来の食文化」のよさが逆輸入されてきているという現状なのです。
哺乳類「ヒト」にとって、本来、「雑食」であるはずの「食生活」に於いて、動物性たんぱく質、脂肪、乳製品の過剰摂取は、ヒトの寿命そのものを縮めることが判明したのです。
和食は祖先の残した偉大なる知恵です。妊娠中かどうかに関わらず、私たちの身体を健康に保ってくれる、理想の食生活なのです。

赤ちゃんがエコーで見えるようになるのはいつごろですか?

では、現在の医療の常識から順を追って話しましょう。

* 予定通りに「月経」がないと心配になります。妊娠検査薬を使って調べてみて、判定が「プラス」と出ると、様々な思いを込めて、まず、どうしようかと思いますよね。
そして、一般的には、妊娠していると直感します。この時点での、多くの女性の妊娠週数は4~5週です。

* さてどうしようか???
自分の身体に起こっている「妊娠」という変化についての診断を受けなくてはならないと考えます。 そこで頭に思い浮かぶものは、、、病院、産婦人科、医師の診察(男の医師か?女医さんがいいなとか・・・)
本当はこの時点で助産師を思い出してほしいのだけれど多くの女性にはその選択肢がない。残念!!

*「産婦人科」に妊娠の確定診断を受けに行きますと、まず、内診室、或いは、そのまま「内診台」に案内されます。そこには、内診キットという器具類のセッテングされた装置と超音波診断装置(以下、エコーといいます)が備えられています。そして、「内診」という婦人科独特の診察方法で膣の中を診察してもらうことになります。
通常、「クスコー膣鏡」というステンレス製の膣内専用の拡張器を使って、膣の中を診て、人肌の微温水に調整された消毒液で洗浄し、ティシュで拭く代わりに「綿球」で膣内の水分を吸い取ります。と同時に、エコーに接続された「膣式のプローブ」を膣内に挿入され、エコー診断に入ります。
(この間、一連の診察行為は、特別な説明をされない場合もありますので、注意してください。驚くヒトもいます。私は、びっくりするのが普通だと思いますよ)

エコー上の画像を見ながら胎児の診断をされます。妊娠4~5週であるとか、心拍が確認できるので妊娠7週だとか、胎児の身体測定値であるCRP(頭殿長)が測定可能であればより確定的な診断をうけることが出来ます。

助産師の所有しているエコー診断では、通常、膣式のプローブを使用することはなく、腹部上からの胎児を診ていきます。腹部からの診察では、妊娠の10週前後で,胎児の心拍が確認できる頃がよいでしょう。実際には、妊娠7~8週でも映像上の確認が出来ますが、妊娠10週を過ぎれば確かさが増します。

* 怖い話があります:ウルトラサウンド=エコーとは何のために発見されたのか考えると怖くなります。ソレは、核爆弾投下の正確性をもたらすための感知器であり、いわゆる、金属探知のためだったのです。
現代の産婦人科医療に欠かせないエコー診断の安全性については、本当に、女性体内の胎児の診断、腹部腫瘍などの医療診断に適するか否かの結論はでていないのです。
最近,レントゲンの害がレントゲン使用後50年も経過してから報告されたことに鑑み、ウルトラサウンドの「見えない害」が指摘され始めています。